大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(刑わ)6880号 決定

被告人 水島久樹 外一五名

当裁判所の見解(決定)

刑訴法二九一条二項に基づく被告人の意見陳述は、前回の法廷においても述べたように、事後に行なわれる審理のための争点整理の意味をもつわけである。通常この機会における被告人の意見陳述を「罪状認否」と呼んでいるのも、この性格を端的に表現したものである。従つて、この意見の陳述は、訴因として構成された公訴事実に対し、「認める」か「否認する」か、あるいは「部分的に認め、部分的に否認する」かを指摘し、また、この機会に責任阻却あるいは違法阻却の主張をすることを許したものである。そうであれば、この機会における被告人の意見陳述は、いわゆる被告人の公判廷における供述として証拠となる場合もないではないが、むしろ、右のような証拠としての意味よりは、争点整理のための法律的な主張としての性格の色彩がより強いものと解されるし、必然的に意見陳述のために要する時間は、さほど多くを要するものとは認められない。

ところで、法二九一条二項に基づく被告人の意見陳述について、時間的制限をなしうるか否かについては、それが合理的なものであり、かつ被告人の本質的権利を害さないかぎり、裁判長の訴訟指揮権に基づき裁量によつて当然になしうるものと考える。それは訴訟法上明文の形では規定されていないけれども、訴訟指揮権が訴訟を秩序づける裁判所の合目的的裁量行為である以上これをなしうることはいうまでもなく、また、規則二一二条が、被告人の重要な訴訟法上の権利である最終陳述についてすらも時間的制限を認めていることからも、このとこは根拠づけられるのである。

もつとも、法二九一条二項による意見陳述は、右の最終陳述と異なり、訴訟の当初の段階において行なわれる関係上、裁判所としては事案の全貌を把握しているわけではないから、裁判所としては、まず法二九五条により被告人の意見陳述の内容によつて、重複あるいは関連性の有無または相当性を判断し、事項毎にこれを制限すべきものであろう。しかし、被告人が右の制限に従わず、関連性のない発言等を繰りかえすときは、これに対し時間的制限を加えることも、やむを得ないものと考える。

本件においてこれをみるに、前回の法廷では、H、Yの両被告人が意見を陳述し、その所要時間は前者について三〇分、後者については二五分に及んだが、関連性のない事項についての発言、あるいは無意味な重複発言が多く、その実質的内容は、一五分もあれば十二分に述べられるものであつた。

よつて、裁判所は、以上の諸点を総合して、被告人らの法二九一条二項に基づく意見陳述の時間を、今後一人一五分に制限する。

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